【続】朝の旋律、CHOCOLATE


もう、それからは練習練習。

部屋で練習するわけには行かないから、スタジオを自費で借りて、練習した。


仕事を終えて、平日の夜に。

時々、哲と一緒に。

もっと時々、真ちゃんや、杉崎くんや、川辺くんも、一緒に。


酸欠でクラクラする視界は、不快じゃない、と言った私に真ちゃんは。

変態、と。
マゾ子、と。


…この時は、反論出来なかったっけ。

真ちゃんにだけは言われたくなかったけど。




私ひとりだけを照らすスポットライトは、熱い。

照明の具合なんかも、綿密に打ち合わせていた団長も、今は見えない。


私だけが、怖いくらいにひとりぼっちな気がする。


酸欠の恍惚感を信頼して、身を委ねたならば。



私は、私。
蜜は、蜜。


強烈な、自己の確立。



もしかしたら、いつもステージで歌う哲も。

ライブの時には、こんなに気持ちいいのかも知れない。



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