【続】朝の旋律、CHOCOLATE
サヨちゃんに、たくさんのお礼と、お別れを。
夢中で駆け抜けてしまった最後の演奏を、少し後悔した。
もっと、もっと出来たんじゃないか、とか。
もっと、楽しく。
もっと一生懸命。
“来年もある”事に慣れた私には、緊張感が足りなかったんじゃないか、とか。
高校生の部活動三年目のように、これが最後、という気概が足りなかったんじゃないか、とか。
サヨちゃんは、泣き笑いで。
蜜、色々ありがとう。
お菓子、美味しかったよ、って。
最後、打ち上げ会場を出てからは。
ちゃんと彼氏について行きなさいね、蜜は破滅的だから、なんて。
ちょっと酷いことも。
サラリと笑いながら、言った。
ありがとう。
サヨちゃん、ありがとう。
多分大丈夫。
多分大丈夫、と繰り返した私を、多分じゃ駄目でしょ、と撫でてから。
旦那様のお迎えで帰って行ったサヨちゃんを、見送った。