【続】朝の旋律、CHOCOLATE
…揺れ…てない、と思う。
なんて、曖昧な返事をした私は。
怒っているのかと、ふと不安になって。
握られた手をわずかに引いた。
「………やれねぇよ?」
哲はその手を、強く引き寄せて、唇のピアスに当てる。
吐息が、白く。
私の、指に。
「絶対、やれない」
真也にも、誰にも。
ちゅく、と。
私の指先で、唇が鳴る。
硬いピアスの金属が、爪に当たった、微かな振動が。
ぞくり、と。
下半身を、収縮させた。
「ゆ……揺れた、かも知れないけど」
でも私。
真ちゃんじゃ、イかない。
や、体の構造上、イくかもしれないとか、そういう話じゃなくて。
イけないの。
よくわかんないけど。
哲じゃなきゃ、満たされない。
…カッコいいとは、ちょっと思っちゃったけど、さ。