【続】朝の旋律、CHOCOLATE
私は。
姫様が持って来てくれたバスケットを覗いた。
市販のゼリーやプリンの他に、ココット型に、ラップのしてある、オレンジ色の、ゼリー。
もしかしなくても、手作りのそれをそっと出して見れば、まだ固まりきっていないらしく、プルプルと危うげに、揺れた。
さすがに本気で妬くのは、カッコ悪い。
私は、筋肉痛にぎくしゃくしながらスプーンを手に取って。
その固まりきっていないゼリーを、少しだけ、口に入れた。
「…………ぅ」
し………沁みっ…
「大丈夫?痛くない?美味しい?」
「………だ、いじょうぶ。し、みない。美味しい、よ」
沁みるけど!
味解んないけど!
オレンジか!?
酸味が強いのか!?
いいい…痛…っくない!
痛くなんかない!!!
「…食べられる?」
「うん、あり、がとね」
哲の腕の中から、涙をこぼしながら訊く婿姫様に、私は。
精一杯の笑顔を、向けた。
嬉しいのは、確かだから。