【続】朝の旋律、CHOCOLATE
深い、深いため息。
哲がついた、そのため息の、真の意味は解らないけれど。
きっと、私の無事に安堵してくれたんだと、思った。
「て、つ。ごはん、た、べないと」
顔を見られたくないのに、哲は。
私の体をそっと、そっと、仰向けに倒す。
重力に任せないで、腕に私を抱えたまま。
「………あとで」
「……てつ?…あんま、り、見ない、で?」
哲の指は、私の腫れた頬をなぞる。
あてがわれたガーゼの上から、鬱血した頬を。
破けたような、唇を。
黙ったまま、そっとなぞる。
絞められた、首の痕。
毛細血管の切れた、皮下出血。
ガーゼのおかげで、今はあまり見えないかも知れないけれど。
哲は黙ったまま、私の切れて腫れた唇に。
舌を、這わせた。