【続】朝の旋律、CHOCOLATE


私の隣には哲がいて。
しっかりと、手を握っていてくれる。

伝わる体温は少ないけれど、確実に、私を守ってくれる。




「………好き、だと…」

殺していい、んです、か?





私が訊いたことは、もしかしたら的外れだったかも知れない。

意地悪だったかも、知れない。



狭山久志の母親の後ろから、怒りに真っ赤になった父親が、噛みつくように怒鳴り出す。

聞くに耐えない、口汚さで。




私がいかに“アバズレ”で、
いかに“恥知らずな女”かを、近所中に響き渡るような大声、で。




「いくら欲しいんだ!!」


こんな卑怯な真似しやがって!大怪我みたいなフリをして!

いくらだ!?
ウチからいくら引き出すつもりだったんだ!?




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