【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「………………蜜、ちょっと」
ひと通り聞いた真ちゃんは、私を手招く。
少しだけ怒った顔をしているから私は、何となく不安な気持ちで、真ちゃんの隣に正座した。
哲は、飲み終わったビールの缶を片手で潰して、もう一本呑むつもりなのか、席を立った。
「……ライブ、しよか」
囁くように言われたセリフは、私の想定外の内容だったけれども。
真ちゃんは私の頬の痣を、指先でひと撫ですると。
それとも、4匹くらい子犬飼うか?なんて。
冗談か本気かも解らない事を言って、笑顔を、浮かべた。
「………子犬…?」
「飼う?」
「……………うん、飼…」
「馬鹿蜜、無理だ」
あんなデカくなる犬、4匹もどこで面倒みる。
うん飼いたい、と確かに言いかけた私の言葉を遮った哲は。
「手放すつもりも無いくせに」
と、唇のピアスを可笑しそうに光らせて。
真ちゃんに、新しい缶ビールを、手渡した。