【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「でも蜜、今日、病院だろ?」
「薬貰うだけだから」
味覚障害は、少しずつ良くなっているような気がする。
何を食べても、ガサガサとした藁を噛んでいるような、不快な感じでは、なくなっている。
……何を食べても、極薄味ではあるけれど。
「………なぁ…蜜」
哲は。
暑い暑い、と昨夜、脱ぎ捨てたシャツもそのままに、素肌の上半身を起こして、再び。
私に覆い被さるように、視線を合わせた。
「……な…なに」
「…………」
まるでベッドの中で、裸の男に抱え込まれた女の子みたいな状態に。
私は未だ、緊張を隠せない。
…いや………まさに…そうなんだけど…。
「…真也が…イギリス行くのは…寂しい?」
「……………え?」
哲は私の前髪を、指で梳く。
何度も、何度も。
なんとなく。
なんとなく、なんだけど。
どの“寂しい”を訊かれているのか……わかる、気がした。