【続】朝の旋律、CHOCOLATE
わからない、訳ではない。
私は真ちゃんを好きだけれど。
会えなくなったら、寂しいけれど。
多分、今訊かれているのは、そうじゃない。
“友達が転校するから寂しい”といったような意味合いで、今更訊くわけ、ない。
「………私…」
哲の指は、私の髪を梳く。
少し緊張したような、哲の目は。
私が逃げるのを、許さない。
真っ正面から、まっすぐに。
「……哲と一緒に、…会いに行くし」
哲がいれば、会いに行ける。
……だから。
「…だから、寂しく、ない」
何のかんの、言ったって。
男の友情って、女の私には、踏み込めない、領域。
私が聞かされていない、真ちゃんの何事かを、哲だけが知っていたって。
それはもう、仕方のない、こと。
頭ごなしに、もう止めてやるな、と言わない分だけでも。
哲は。
私にも真ちゃんにも、優しい、って事なんだと、思う。