【続】朝の旋律、CHOCOLATE
馬鹿、そんなわけあるか、と。
哲は、ぎゅ、と眉根を寄せて。
私の頭を、抱く。
「…」
「……貸せない、んだ」
真也のばぁちゃんの目を眩ますだけの事だ、ってわかってても。
ただいつもみたいに一緒にいるだけでも、…ちょっと眩ませる事くらい、簡単な筈なのに。
「…蜜の距離感、いつもおかしいから」
何気に失礼な事を、吐き出すように呟いた哲は。
そのまま空気に丸め込まれて、攫われそうで、と。
「…真也は」
バストロの彼とも、ましてや狭山の馬鹿息子とも違うから…、
なんて。
語尾を自信なさげに揺らすと、大きく吸った息を、止めた。
それから、がばりと体を離すと。
「ちょっ…哲!?」
…私の着たTシャツを、引きちぎらんばかりに、たくしあげた。
「あ~………もー…駄目」
「…し、したばかり…っ」
「蜜が馬鹿なんだもん」
「だもん!?」
何がだ!!
馬鹿はお前だ!!
どど…どんだけ元気なんだよっ…!!!