【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「………私、これからエレンさんと遊ぶのに」
「……栄養ドリンク…買ってあげるから」
「…あれ嫌い。不味いもん」
「……………」
「あーぁ、私、80のおばあちゃんについていけないかも」
エレンさん、元気だもん。
私はいまだ、ベッドの中で。
いまだかつて無いくらい、気怠い、と。
突っ伏したまま、哲の差し出したコーヒーを受け取った。
「…味わかんないくせに……」
「…………」
そんなことばっかり覚えてんだな!!
エレンさんに誘われてたのは忘れてたくせに!
忘れて、馬鹿か!ってくらい、責め立てたのに!
「…………あれ?」
わかりやすくふてくされた顔で、コーヒーをひとくち含んだ。
ふわりと香る湯気の中に。
ここ最近、何を口に入れても感じていた、忌々しいくらいの苦味と渋味の他に…確かに、他の味。
私の味覚は、少しずつ着々と。
正常に戻りつつ、あるようだった。