【続】朝の旋律、CHOCOLATE
バッグに入れたままだった、私の携帯。
不意に着信を告げた事に、私はエレンさんにことわって。
着信名を、見た。
「………ゆう、な?」
ちょっ………待て!
落ち着け私!
…ゆ…
優、菜……?
「……はぅ…っ」
落ち着け私!
落ち着け私!!!
今度はどうしたんだ!
真ちゃんなら…知らないよ!!
どうしたの?
出てイイのよ?
と。
怪訝そうな目で、私に受けるよう促すエレンさんの前で、鳴り続ける携帯。
その名前を見つめたまま私は。
気の遠くなるような脱力感に、うなだれた。
「……あ~………」
ぷちぷちっ。
PWRキーを二度押して、着信を黙らせる。
ちょうど来た、店員のイケメン風のお兄さんが。
ラズベリーのジャムです。
他に、キウイジャムと、レモンマーマレードがございますが、お持ちしますか? と。
綺麗なクリスタルの器に、キラキラのイケメン風スマイルで、そう言うもんだから。
私はそっちに気を取られた振りをしてそのまま。
携帯を、バッグに放り込んだ。