【続】朝の旋律、CHOCOLATE


「蜜」

24mmのドリル取って、と。

哲は軍手の左手で、私の背後の棚を指差した。


その一本指す、人差し指には、まだ引きつれたような縫い痕があることを、知っている。

疼くように痛む時があって、それでも動かせるようになって来たことも。


たまに苛ついたように、舌打ちすることも。




「はい。あ、明後日、真ちゃん来てくれるかなあ?」


金管八重奏のコンクールは、銀賞だった。

八人中二人が、色恋に揺れていた私たち。


ざわめいた心境で勝てるわけもなく。

銀賞、というのは、ある意味予想以上の成績だけれども。

例年、金賞を頂きがちな私たちにしてみれば…ほんと、大事な時に揺れてごめんなさい、といった感じだった。




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