【続】朝の旋律、CHOCOLATE


今、お会いできるように、副社長さんにお願いしていたんです、と。

狭山の会長は。


哲の背中に、私が隠れるようにして居るのを見つけると、そう言った。




「治療費などを…」

受け取って頂けないかと、と。


中身が札束だとしたら、治療費どころじゃない厚みの封筒を、差し出した。




「……告訴、取り下げるつもりはないですよ」


答えたのは、私ではなく、哲。

哲は私を、再び背に隠すように前に出ると、乏しい表情を、ますます堅く引き締めた。



「これで示談してくれと言ってる訳じゃ…ないんです!」



でも…その………

あの子は…貰ったものだと言うのですが……

倉橋さんのもの…ではないのかも知れませんが……



「…あの子の部屋に……」

女性の下着、が…。


警察が押収していきましたが…もし倉橋さんのだとしたら…せめて…代金を………と…思いまして…。




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