【続】朝の旋律、CHOCOLATE


哲は嫌な顔をする事もなく、大きく、緩く、私の腰を抱く。

好きだよ、と額にキスをくれる。


私は哲の足の間に片足を突っ込んで絡みついてから。

哲の服の前を少し開けて、胸の蝶に、唇を寄せて目を閉じた。




「…え、そんだけ?」

「何が?」

「……………もう寝る姿勢?」

「……う、ん」



え、違った?
哲の匂いがいっぱいだから、安心して眠れるかなぁ…とか…思ったんだけど…。




「……………」

「…………………」



やだ…、なにこの沈黙。




「…“哲なんか嫌い”のまま寝んの?」

「…………………」



…え?
あ…ああ…!?


「きっ…気にしてたの!?」

「…………そうじゃないけど」



哲は、わざとらしく拗ねた目をする。

そんな訳ないことなんか、ちゃんと知ってるくせに。


こうやって、ちゃんと。
わざと。

私“も”求められている事を、わかりやすく示して、くれる。



< 406 / 422 >

この作品をシェア

pagetop