【続】朝の旋律、CHOCOLATE


「…よく言えるね…って…蜜がねだるくせに!」

「………そ…そうだけど!」


哲は。
私の腰を強く引いて、自分の上に、乗せた。

私はいきなり乗せられた哲の体の上で。

あわあわと腕を突っ張って、上半身を起こしたけれど。





「…たまには俺にも言え」

「………やだ恥ずかしい」

「じゃあ俺も、もう言わねー」

「…そ…それもやだ…」




言葉って、とても大切。

はっきり言うのも。
言わないのも。


哲は私に、はっきりと。
欲しい言葉を、音にしてくれる。

ずっと、ずっと言わないでいてくれたことを、たくさん言ってくれる。



真ちゃんは、言わなかったよ。

言わないままで、いてくれた。



だから。
だから。

私、落ち着いてるのかも知れない、ね。





「…て…哲………好…」

…す……



………や…やっぱ恥ずかしくて言えない!!!



哲が言って!
哲が言って!

蜜好きだよ、って言ってよ!



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