【続】朝の旋律、CHOCOLATE
土曜日が、巡って来る。
私と哲とは、狭山久志の事に時間も余裕も取られて。
トランペットの練習も、ちょっと遠出するようなデートも出来ない、まま。
真ちゃんの不在は、なんとなくいつまでも寂しかったけれど、私からはメールしちゃいけない気がして。
時々、真ちゃん元気かな、なんて。
哲と話したり、していた。
幾度目かの土曜日も、そんな風に、迎えた。
「蜜、口開けて」
哲が、チョコレートを咥えて、私の顎を上げさせる。
私は少し、緊張しながら少しだけ、口を開いて。
唇から、チョコレートを受け取った。
チョコレートは、こうやって、日に日に甘さを増して行く。
惜しみなく注がれる哲の、唇のピアスは。
私の味覚を、呼び戻す。
毎朝ごとに、確実に。