【続】朝の旋律、CHOCOLATE
ライブハウスは。
いつ来ても、煤けた雰囲気がたまらない。
音は、全ての空気を震わせて、全身を締め付ける。
カウンターに置いた、緑色の空き瓶も、音の振動を受けている。
「蜜ちゃん、哲さん歌うの久しぶりだね」
「うん、哲、チョー綺麗!」
藁のような、真っ直ぐな金髪を結んだ、ライブハウスのスタッフの、お兄ちゃん。
「もう一本飲む?」
「タダなら飲む」
ステージ上の哲と、杉崎くん。
店長と、川辺くん。
真ちゃん不在が、ほんのり寂しくて。
私は、しょうがないなぁ、と出されたウィルキンソンのジンジャーエールを、両手で受け取った。
「…………あれ…?」
「……」
「…………あれ!?」
「…………」
ちょっ…と、待って。
ちょっと待って!!!!
ちょっ……スタッフ君!!
なにニヤニヤしてん………!!!
「やっぱ哲さんの歌には、ね」