【続】朝の旋律、CHOCOLATE


何か食べないと、薬も効かない、と。
哲は、甘いシリアルに冷たい牛乳をかけてくれた。


「無理して食え」

「…多い」

「だから無理しろっての」


熱っぽい口の中に、冷たい牛乳は気持ちよかったけれど、甘いはずのシリアルの味は、よく分からなかった。


音楽は。
ごく小さく、音量を絞られた、クイーン。

彼らの作る曲は、ちょっとした組曲みたいなものが多くて。

色んなジャンルの音が、折り混ざる。


映像は、ない。

ないし、あまり好きな感じではないのだけれど。

この人たちは天才なんだ、と、ぼんやりした頭で、そう思った。



「じゃあ、狭山工販のだけ終わらせたら、上がんなよ?俺、配達二件行ってから週明けのやっとくから」


今日は、土曜日。

婿様は、いくつか重なってしまった配達の要員に、哲を起用し、定年を過ぎた2人は、休ませた。


工場は。
私と、磯部さんだけ。



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