【続】朝の旋律、CHOCOLATE



「蜜さん、ちょっといいかな」


工場の入り口で、昼引き取りの品物を取りに来た狭山工販の長男が、私を呼んだ。


……なに。

それだけ終わらせたら、部屋で休む、って哲と約束したんだから…。

もう、あんまり特急な仕事、入れないでくださいよ?




「悪いんだけどさあ、これ、現場に直接持っていくんだけど……」

もう設置始まっててさ。
でも俺、よくわからないんだよね。
ちょっと一緒に来て、見てくれないかなぁ。



「……現場に、技師いないんですか?」


たまに、ある。
こういう事。

ちょっとした修理に使う部品を注文したはいいけど、取り付けられない人ばかりの現場。


その機械は使えても、内部の部品は見たこともない、って事。


哲は、時々出向いて、微調整しながら取り付けたりしていたし、私も何度か。



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