【続】朝の旋律、CHOCOLATE
着替えられない。
…訳じゃない。
着替えるのが、面倒だった。
だって……うちの階段、長いから…息、切れたんだもん。
哲がいて。
薬があって。
私の部屋、グリーンのベッド。
私の、テリトリー。
ほっとしたら余計、具合悪くなったんだもん。
「蜜、駄目だよ」
「…駄目?」
「うん、駄目。着替えて」
「……大、丈夫」
「何がだ馬鹿」
哲は、そのままベッドに上がろうとした私を座らせて、膝に部屋着を乗せた。
「着替えとけよ?」
「……ん」
あれ?
行っちゃうの?
哲、帰っ……た方がいいか。
うつしたら可哀想だし。
私は、そのまま出て行く哲を、見つめてから。
腰掛けたベッドの上。
崩れるように、仰向けに転がった。
早く、薬効かないかな…
せめて、解熱剤だけでも効いてくれないと…。