【続】朝の旋律、CHOCOLATE


メイアクト様、またお世話になります~。
っていう、柔らかい夢を見ていた。

あ、メイアクトって、今貰って来た、抗生物質。

子供の頃は、薄いオレンジ色の、甘い粉だった。

今日のは、錠剤。
私、大人になったんだなぁ…。



場面が切り替わった夢の中で、私は子供。


不意に、火事の夢に変わる。

磨り硝子のドア一枚隔てた向こうは、誰もいない銭湯で。


熱を出すと必ず見る、夢。


くすぶるような煙の臭いと、息苦しさ。

不思議と、逃げるつもりにはなってなくて。


ただ、怖い。


音が。

音楽のような、効果音のような。


どんな楽器にも出せないような、怖い、音。


私が逃げ出したら、家族が困る、って。

そう思っている、夢。



夢の中で、子供の私は。

泣き声ひとつ立てずに、独りで。
ドアが焼け落ちるのを、ただ見つめている、夢。



< 77 / 422 >

この作品をシェア

pagetop