【続】朝の旋律、CHOCOLATE


溶け出した硝子が、綺麗だと、思った。

限界の、呼吸。

炎は見えないのに、真っ赤に溶け落ちた硝子は、床でシュウシュウ煙を上げていて。

ぽっかりと、落ちた硝子の向こう側。


そこから、何かが。
…私を、見ていた。




「…………ッ!!!」


込み上げた咳は、止まらない。
私は体を折り曲げて、胸を押さえながら、涙を零す。



「蜜」


50回も、したかも知れない。
数えてないけど。



「……は…っ…ぁ」


ようやく息をついて、目を開ければ、いつの間に戻って来ていたのか、哲が。

私を、抱え起こして、背中をさすってくれていた。



「…ごめ……大丈夫。怖い夢見た」

「………着替えないから」

「…かなぁ?」



………ほんとか?
着替えないと悪夢見るのか?


哲は、ためらいなく私の仕事着の、ボタンを外した。



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