【続】朝の旋律、CHOCOLATE
ぺたり、と。
絆創膏を貼り付けて。
ちゃんと帰るから、と言う哲が、いつまでも部屋に居てくれることに安心した。
暗くした部屋で、携帯の光だけが、哲の顔を照らす。
哲の髪を、赤く、赤く。
夜中、何度も目が覚めて。
何度も、夢を見た。
そのたびに、差し出されるスポーツドリンクを、おとなしく口にする。
哲、ちゃんと寝ないと。
早く帰らないと。
子供の頃、私は。
ちょっと咳が出ると、次の日には入院だった、と。
よく母親が言っていたけれど。
朝方、普通なら下がる熱が、一向に下がらなかった私は。
胸と喉が、裂けたんじゃないかと思うような咳に、あてがっていたタオルを、血で汚して。
……やだ………喀血?
なんて、ぼんやりうとうとしている間に。
入院が決まっていた。