桃橙 【完】
「お母さん…」


「もう、そんな心配そうな顔しないで、早く仕事に行きなよ」


「うん。今日も来るから…」


「はいはい」



呆れたように笑うお母さんに「行ってきます」といって、病室を出た。


安芸が出て行く姿を見届けてから、明子は…



「………」



姉さん。


明子は瞳を閉じてから、窓の外の景色を見つめた。



「罰が当たったのかしらね…」



そう小さく呟いてから、自分の両手を見つめた。



「……姉さん…」



明子は、何かを決意を決めたかのような強い瞳をしていた。
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