桃橙 【完】
――…
「それで、安芸は?」
「い、いえ…その…」
春河家では、招いた園田から由蓮は先日の電話での話を詳しく聞こうと躍起になっていた。
「私が、追った時にはもうすでに姿がなく…」
「そうか…でも、安芸は生きていたのだな」
「はぁ、…見間違いでなければ、」
「そうか、また何かあったら連絡をくれ。頼むな」
「はい。社長」
「いやいや、こちらもいつも申し訳ない」
2人の会話を遙は、襖の向こうで静かに聞いていた。
安芸が、集まりに?
……一体どうやって。