桃橙 【完】
安芸は、春河の隣に座ろうとしたが



「安芸、俺の隣に座れ」



総の言葉に、安芸は父さんへと視線を向けると



「安芸、そうしなさい」



父さんの言葉に



「はい」



と素直に頷いた。


そのことに、納得が行かないのか春河は安芸のことを目で追っていた。



「春河 遙くん」



父さんの言葉に、春河は姿勢を正して「はい」と頷いた。



「安芸のことだが…君は安芸を引き取りたいと話していたようだね。それは、どういうことか聞かせてもらえないか」


「…私は、安芸と2人で暮らすつもりでした」


「ほう…安芸と2人で…それはなぜ」


「…安芸のことはお調べになっているとお聞きしました。ならば説明はいらないと思います。安芸のことをずっと守ってやりたいと思っていました。…いつかあの家から安芸を出してやりたいと」


「―…君の会社はまもなく潰れる、そのことはご存知かな」



父さんの言葉に、春河は驚愕するかのような顔を見せた。
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