桃橙 【完】
「…多少の資金ならあります。安芸と2人で暮らしていけるには充分な額です」


「……その資金は海外のものかな」


「はい」


「それなら、春河が資金繰りに困り、もう使い果たしてしまったよ」


「なっ…」


「知らなかったのか?1ヶ月ほど前の話だが」


「………」



春河の顔が歪む。



「遙お兄様…」



安芸が心配そうに春河に声をかける。



「それでも…っ」


「安芸は、君の妹ではない」


「…え?」



父さんの言葉に春河は顔を上げた。
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