桃橙 【完】
――…
夜遅くに帰ってきてからの遙の様子がおかしいことに雅は心配していた。
買い物に行くって言って出て行ったのに…。
何もお持ちになっていなかったし、話しかけても返事もせずに、お部屋に篭ってしまった。
変なお兄様。
どうしたのかしら。
冷蔵庫にある材料で、簡単にご飯を作り、遙の部屋をノックした。
「遙お兄様、ご飯ができました。食べましょう?」
「…悪い、一人にしてくれ」
雅は、不信に思ってゆっくりと遙が休んでいる部屋を開けた。
「お兄様、どうしたの?体調でも悪いの?」
伺うように、遙が休むベッドへと近づいた。