桃橙 【完】
「触れるな、雅」


「…お兄様」



雅は、襖からそっと手を離した。



「ここに近寄るな」


「………」



兄の頑なに拒否を示す態度に、雅は顔を一瞬歪めてから



「わかりました。…でも、夕食は一緒にとりましょうね。お母さまも心配していますから」


「…わかった」



その返事に、ほっと息をついて、雅は離れを去った。
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