桃橙 【完】
そして、少しずつ色々な話をするうちに、お母さんは



「あんたの母親は、私じゃない」



そう煙草を吸いながら、なんてことないように言ったんだ。



「私の姉が、あんたの母親」


「……お姉さん?」


「…そ。名前は陶子って言ってね。名前通りに透き通るような綺麗な姉だった。……あんた、姉ちゃんに似てるよ?」


「でも……お父さんは、あの…」



父親は、もちろんあの春河由蓮なのだろうと聞こうとすると、明子は一瞬目を細めて



「違うよ」


「え…、じゃあ、お父様は、」


「あいつは…由連は、あんたのことを本当の娘だと思ってる。しかも、私が産んだ」


「………」



じゃあ、


雅お姉様とは…



「あの春河家とは、縁も所縁もないの」



お母さんの言葉に、途端に肩の力が抜けたのを今でも覚えてる。
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