桃橙 【完】
新しい世界
――…
それから、安芸は陶弥に紹介されたマンションに住むようになった。
働く場所も紹介するから、安芸は何もしなくていい、と言われた。
何から何までこんなによくしてもらっていいのだろうか…そんなことを思わずにはいられなかった。
けれど、本当に感謝していた。
あのまま陶弥さんに出会っていなかったのなら、自分はどうなっていたかわからない。
想像もできなかった。
…そして、やはり自分は世間知らずなのだと思い知った。