桃橙 【完】
――…
「お疲れ様でした」
「安芸ちゃん、お疲れさま」
地元の小さなスーパーだから、働いているのはほとんどが地元のお母さん達。
失敗ばかりしていたときは、厳しく言われたこともあったけれど、ちゃんと仕事をこなすようになってからは、みんな優しくて温かい。
ここを紹介してくれたお母さんには、本当に感謝していた。
「明子ちゃん、今日は夜勤だったっけ?」
「はい。そうなんです」
母の仕事は、モノを作っている仕事のようで、たびたび夜勤という夜も働く仕事をしていた。
その時は、夜は一人だった。
「大変だねぇ、あ、ほら余ったお弁当持っていきなよ。一人だと作るのも億劫でしょう?」
「…いつもありがとうございます」
お母さんのことを知っているおばちゃんは、いつもこうしてよくしてくれる。
お昼ごはんが足りないんじゃない?なんて、よくお弁当のおかずをわけてくれたり。
こうして、お母さんがいない夜はお弁当をわけてくれたり。
すごく温かい職場だった。