桃橙 【完】
「なに。父さん」


「陶弥、会社では社長と呼べと…」


「いいだろ。それでなに?俺今手が離せないんだけど」


「…陶弥、会社に私用を持ち込むな」


「………」



もう、父さんの耳に入ったのかとため息を零した。



「けじめをつけなさい」


「わかってるよ。…今度からは、会社には連れてこない」



そのまま部屋を出ようとすれば



「待て」


「なんだよ」


「来週末に開かれる集まりだが、お前が行け」


「はぁ?なんでだよ」


「私が、出れないからだ」


「…この為だけにニューヨークから戻ってきたわけ?」


「…それだけではない」


「あっそ、」



俺は若干ふてぶてしい態度で、親父から視線を逸らして、ドアに手をかけた。
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