桃橙 【完】
「…お母さんっ!!」



かかってきた電話は、お母さんの職場からだった。


職場で具合を悪くしたお母さんはそのまま病院に運ばれたと、そんな内容の電話だった。



「静かに、」


「すいません…」



看護婦さんに、しっ、と咎められて、ゆっくりとお母さんの眠っているベッドに近づいた。



「点滴が終わる頃にまた来るから。あなたは今日ここに泊まる?」


「あ…はい。」


「じゃあ、毛布持ってくるわね」


「…ありがとうございます」



点滴が腕に繋がれたまま、青白い顔のお母さんを見つめた。


そのまま、看護婦さんが持ってきてくれた毛布を身体にかけて、お母さんに寄り添うように眠った。
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