私の彼氏は××
「…よしっ。」
空はすっかり暗くなっている。
「お、終わった~…。」
理科室に呼ばれたのは授業でやる予定の実験を一回試したいので手伝ってという内容だった。
「ありがと。助かったよ。」
先生も疲れているようだ。
「ん…。疲れましたー!」
おもいっきりおどけて言ってみた。
そしてとあるコトに気づく。
「あ、どうして私…だったんですかー?」
そうだ。なんで私だったんだろう?
「んー?別に理由はナイけど…。あ、強いていうなら…。」
「強いていうなら?」
別に理由に期待するわけじゃナイけど…。
「強いていうなら…。」
そこまでジラされると、気になるよー!
「…強いていうなら?」
「理科が100点だったから。」
あ、そう。特に驚きも嬉しくもなかった。
それはいつものこと。言われなれている言葉。
しーんとなる理科室。その空気に先生は気づいて、
「おい?大丈夫か?」
と声をかけてくれた。でも…。
「…だっ…大丈夫ですッ!!」
と、大声を出してしまった。
「いや…でも…」
「ホントに大丈夫ですから!!すいません、なんか…。」
あー!失敗した!せっかく褒めてもらったのになんか悪かったかな。再びしーんとなる。居心地も悪くなってきたので、話題を切り出してみる。
「先生~!そういえば、先生って、彼女いるんですかー??」
定番だけど、他に思い付かなかった。
「…ん?え、あ…っと…。いないよー?」
「何~?最初のためは~?」
あの反応は、怪しい。
「や!ほ、ホントだって!!」
「先生。キョドってますよ~?」
その時、私の前に蚊が現れた。私は蚊をみると、叩きたくなるタイプ。いつものように叩こうと手を伸ばした。もう少し!と集中していた。いける!!と確信し、叩こうとした瞬間…。

「危ない!!」

ガシャーン!!

先生の声のほうが一瞬早く感じた。

 

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