静かな涙【完】
『……あのさ…タイミングを見計らってたわけじゃないけど…』



宮崎君が少しうつむき加減で言う…



『…うん…』



『良かったら…俺、河上の相談相手とか…その…
鬱憤ばらしでもいいから…力になれないかな…?』



しどろもどろになりながら、言い終えると宮崎君の耳は真っ赤になっていた。



『あ、‥ありがとう‥で、でも‥』




『俺さ、ずっと見てきたんだ、河上の事。
だから‥俺と付き合ってくれないかな?』



私の思考回路が止まる‥

こんな事言われた事ないから、びっくりしてしまって
何も返す言葉が見つからない。





さっきまで、あんな決心をして浩司さんを引きとめようとしていたくせに
ここで、なんで私の気持ちが揺らぐのか‥








でも…



今は誰かに愛して欲しかったんだ…



浩司さんの事を忘れられるくらいに誰かに愛して欲しかったんだ…




宮崎君と浩司さんの姿がボンヤリと被る…




浩司さんの姿が脳裏に浮かんだ瞬間私は泣き出してしまったんだ…。

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