静かな涙【完】
フラフラと力なく歩く…





ピタン―――




ふっと気が付くと、アスファルトに黒い染みがポツポツと増えて行った。




あっ…





雨だ…






でも、どうでもいいや…





濡れたって構わない…






いっそこのまま、私なんて消えて無くなればいい…






髪から滴が流れて来て…





これが雨なのか涙なのかなんて解らない。




周りを、慌てて駆け抜けて行くサラリーマン。
親子連れ、カップル…




皆が灰色に見える…。





私は、雨にさらされたまま宛もなく歩いた。

< 166 / 248 >

この作品をシェア

pagetop