静かな涙【完】
『……浩司…ゴメン。ヘルメット捨てちゃたよ…』




私は、真っ黒になった赤いヘルメットを思い出す…。




「いいよ。気にしないで。俺のが確かもう一個…」





そう言いながら辺りを見回している。





「あったあった」





浩司が埃を払いながら、
「ちょっと大きいけど」と言いながら手渡してきた。




『ありがとう』
と素直に受け取る。





「よし、じゃあ行こう」






何処へ?と聞こうかとも思ったけど…





浩司と一緒に居られるなら何処でもいいと思ったから聞かなかった。






ブロロ…――





勢いよく発進する。





「しっかり捕まっとけよ」





私はコクリと頷いて、浩司の背中にしがみつく。
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