静かな涙【完】
――――
―――



エンジンが静かに止まる…




何処からか潮の香りがする。




「よし。着いた…」





海―――





海だ…





浩司は、ヘルメットを取りながら微笑む…





『…ありがとう…』





私はそう言いながら、遠くまで広がる海を見回す。





このまま、こうして居られたらどんなに幸せだろう…





そう思うと、夕焼けが滲んで見えた…






浩司が私の肩に手を伸ばし私も、頭をちょこんと乗せる…







『…ゴメン…私…泣いてばっかだ…』 







浩司は何も言わなかったけれど、髪を撫でてくれていた…





私の涙が止まるまで




ずっと…




ずっと……
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