静かな涙【完】
浩司は、無言で受け取る…



「こんな…ボロボロのメットでも真弓に、持っていて欲しい、新しいの買ってやるまでな…と言ってやれないのが悲しいな」

そう言うと、浩司は深いため息を付いた。




『…ありがと。その気持ちだけで十分…十分だから…』




そう伝えると、うっすらと涙が滲んできた…。





浩司は、私の涙を拭い頭を撫でる…。









「…宮崎……あいつさ…本当にイイヤツだから…
また…声掛けてみな…。
俺が真弓を守ってやれない代わりに、アイツなら必ず真弓を守ってくれるから…」




私はコクコクと頷き、
『ありがと…』と呟いて微笑んだ。






そして、そのままクルリと背を向け、小さく『バイバイ』と呟く…。





浩司もそれに頷いた様な気がした…。






そしてそのまま後ろは振り返らず前へ進む…




前へ……



前へ………





昨日の事も今日の事も、ずっと忘れない…。






素敵な一夜をありがとう。




ありがとう…




と何度も呟きながら…。
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