静かな涙【完】
ネオンに彩られた街から少し離れた防波堤へと向かう。




ここは去年、浩司さんとクリスマスデートをした思い出の場所。



一年経っても何も変わらない景色。





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一年前・・・




「寒いなぁ、ちょっとそこでコーヒー買って来る。」





『うん。』



浩司の後ろ姿を見つめながらポケットから天使のキーホルダーを取り出す。




男の子の天使が小さなお花を女の子の天使へ渡している。
その回りはハート型というありふれたパターンだけど、なんとなく浩司と私達にはお似合いな気がした。




「アッチチ。はい、どうぞ」



『ありがとう~。アツい~』



冷えきった手に、あったかい缶コーヒーは熱く感じた。


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