静かな涙【完】
真紀子の決意
『お姉ちゃん、もう済んだ?』
『いいわよ、お母さん、もう行こう、時間ないし』
トイレを済ませて手を洗う。
お母さんに肩を借りゆっくりと進む。
『あっ‥』とお母さんが何かに気がついたようで、
『お、お姉ちゃん、先にお父さんの所見に行こう』
と言った。
私はお母さんの肩越しに目をやる‥
『浩ちゃ‥』と呼びかけて止まる‥
…
…‥
真弓と浩ちゃんが泣いている‥?
私の心がズキンと痛む。
キリキリと胸の奥が痛い。
嫉妬しているのか、それとも悲しみなのか
どっちなのかさえ解らない。
浩ちゃん…泣くほど辛い?
私は唇を噛み締めた‥