静かな涙【完】
真紀子の決意


『お姉ちゃん、もう済んだ?』


『いいわよ、お母さん、もう行こう、時間ないし』


トイレを済ませて手を洗う。


お母さんに肩を借りゆっくりと進む。


『あっ‥』とお母さんが何かに気がついたようで、

『お、お姉ちゃん、先にお父さんの所見に行こう』

と言った。





私はお母さんの肩越しに目をやる‥





『浩ちゃ‥』と呼びかけて止まる‥




…‥




真弓と浩ちゃんが泣いている‥?


私の心がズキンと痛む。


キリキリと胸の奥が痛い。


嫉妬しているのか、それとも悲しみなのか
どっちなのかさえ解らない。




浩ちゃん…泣くほど辛い?


私は唇を噛み締めた‥

< 235 / 248 >

この作品をシェア

pagetop