静かな涙【完】
アナウンスが流れる。
そして真弓が立ち上がった‥
俺は、どう声を掛けたらいいのか迷いながら‥
「ま‥真‥」と呼びかけて止まる‥
真弓が振り返ったのだ‥
ポロポロと涙を流しながら‥
だけど、俺と目が合うことはなかった‥
そして、真弓は何か決心したように‥
涙を拭い【笑顔】になった‥
俺は電撃を受けたかのように、立ちすくんだ‥
真弓の強い眼差しを初めて見たからだ。
後悔、嫉妬、喜び、悲しみ、全てを自分で受け止めた顔に
迷いはなかった…。
俺の視界がグラグラと歪み、ゆっくりと真弓が立ち去って行く…
一筋の涙が零れ落ちる‥
俺は、結局…誰1人幸せにすることが出来なかった‥
自分が未熟な為に沢山の人を傷つけた‥
小さく見えなくなった真弓に、
「ごめん…」と呟いた…
ごめん…
ごめん…
ごめん…真弓…真紀子さん…
本当に、ごめん…