静かな涙【完】
『…じゃ…わ…私はこれで…』



言い掛けた時だった…



コンコン…――――




『失礼します。河上さん、リハビリの時間ですよ』




看護婦さんが、顔を覗かせた。




『「はい…」』



浩司とお姉ちゃんが返事をした…




「じゃあ…行こうか…」



『…うん…』



「立てる?行くよ…せーのーで…」



浩司がお姉ちゃんを抱き抱え、車椅子に移動させた。



この短い期間で…



お姉ちゃんは浩司を許し…



打ち解けたのだろうか…


憎むべき相手の浩司を…




私は呆然と…




二人を見つめていた…
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