静かな涙【完】
キキキキッ―――
タイヤが激しく音を立てる…
『……!!!』
急ブレーキも間に合わなかった…
ドンッ―――――!
激しくぶつかる音。
一瞬…
ほんの一瞬の出来事だった…
俺の身体もバイクから放り出されて空中を舞う…
ガンッ―――!!
ヘルメットが冷たいコンクリートに当たり…身体がバウンドする…
「……くっ……」
朦朧とする意識の中で衝撃的な光景が目に入る…
真弓……?
ち…
違う…
そこに横たわっていたのは…
真紀子さんだった…
真紀子さん…
何故…?
俺は鉛の様に動かなくなった自分の身体を引きずり、
真紀子さんの元へ這って行く…
「…ま…真紀子さんっ!真紀子さん!」
真紀子さんは頭から血を流し…
グッタリとしていた…
真紀子さんの足が俺のバイクの下敷きになっている…
どかさなきゃ…
足が…
足が挟まってる…
誰か…
誰か……
助けてくれ…
真紀子さんを助けてくれよぉぉ…―――