静かな涙【完】

『浩ちゃん、新婚旅行はどこがいい？』



真紀子さんが、片手を水に浸しながら聞いてきた…




「んー。行きたいところでいいよ」




そう…




俺達は来年の３月に式を挙げる…




半年後だ。。




『んーっ。バリ島もいいし、ロサンゼルスもいいし…
ハワイでもいいな…
でも浩ちゃんと一緒なら何処でもいいかも！』



真紀子さんは嬉しそうな顔で笑った…。




「そうだね。楽しみだね…」




俺は、大嘘付きだ…




後悔する事なんて…
火を見るよりも明らかだ…




それでも…



俺はこの道を選んだ…



大好きな真弓の為に…



真紀子さん思いの真弓の為に…



これが全く知らない赤の他人を傷つけてしまったのなら…



死にもの狂いで働いて、お金で償えばいい。



でも…



今回だけはそうは行かない…




あの時…




事故を起こした俺は担架に担ぎ込まれ、入院した…



頭を何針も縫う大怪我もした…




でも意識はあったんだ…




担ぎ込まれた時から…。