静かな涙【完】

『…そっか…おめでとう。』



私は、無理に笑顔を作って言った…




『…うん……で…ね』



お姉ちゃんはうつ向きながら、小さく呟く…




『…？』




『だから…取らないでね…』




『…えっ…』




『…だから…取らないでね…私から浩ちゃんを…』




『……』




私は何も言葉が出なくて…




ただそこから動けないでいた…



お姉ちゃんはカタカタと車椅子を漕ぎながら…



家の中へ入って行った…



【取らないでね…】




【私から取らないで…】


お姉ちゃんの言葉が余りにも冷たくて…




私は…




結局何も言えないまま…




お姉ちゃんの後ろ姿を見つめていた…。