静かな涙【完】
真っ暗な夜道を遠慮がちに通る私と先輩…



肝試しが始まる、数分前に、
真っ黒のゴミ袋を被ったお化け役部員が、
林の中を走り抜けていた…


ゴミ袋って…



誰がゴミ袋で驚くかっつーの…



そう思いつつも、私の鼓動は速くなる…



やっぱ怖い…



先輩を見ると、ちょっと引きながら歩いていた…



先輩…ひょっとして怖いの…?



私はなんとなく先輩が可愛く見えた。




…とその時――




ガサガサ…―――!




『んばぁ~!!』




『……』



一瞬、ゴミ袋を被った部員と目が合う…




解っていたのに…
部員だと解っていたのに…




『…!!!ヒィィィ~イヤァァ!!』



私はとんでもない叫び声を挙げて、先輩にしがみついたんだ…


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