椿山亜季人の苦難日記
―今日は、ひっじょうに、気が重い。
天候良好、クラスのテンション通常通り登り調子、
俺の景気動向、下降期突入。
下手すりゃ恐慌起きそうだよ、ブラックマンデー!!
「亮介くん、大丈夫?」
声につられて顔を上げれば、目の前には、長い髪をゆらして、怪訝そうに小首をかしげるマイちゃん。
「!!」
一瞬、言葉を失うほど動揺した。
「どうかしたの?元気ないね?」
君のナイフにやられたんだよ…とは言えず、ニッコリ笑った。
「う~ん、お腹減った!」
俺の言葉に、マイちゃんはクスッと笑って、
「いっぱい食べて大きくなってね。」
と、明るく言う。
トドメか…。
彼女は、悪気無く爆弾のような言葉をおいて、廊下に立っている背の高い、彼氏らしき男の元へ向かった
。
彼女のことで頭がいっぱいだった最近まで、その男の存在に気付かなかった。
…重症?
俺の場合、恋の病どころか催眠術というレベルなのかもしれない。本当に彼女以外目に入っていないらしい。
夢から醒めて、自分のイタさに自嘲する。
そして、いつかは痛みを忘れて、繰り返すんだ。